インターネットモノカキマンの雑記

素人ラノベ作家が自作小説を掲載したり、アニメ・ゲーム・ラノベやそのコミカライズの紹介・レビューをしたり、日記を書いたりします。ジャンクフードみたいに楽しめます。多分。

神の庭の庭師になりました。 #9 冒険者ギルドってどんなとこ?

「良かったニャー! 実に良い話だニャ! 感動的だニャ! なんか劇とかでありそうな展開だったニャ! この後は交尾するのかニャ?流石にここではやめて欲しいニャ! ミャーも発情してしまうかもしれないニャ! 初めてが剣の柄とか嫌ニャ!もしかしてミャーも一緒かニャ!? エルルと一緒なら……アリかニャ!!!」

 

 

 バァーン!と扉が開かれ、ミーシャが目が爛々と輝く凄いテンションで捲し立ててきた。きいとったんかいワレ。少しくらいは余韻に浸らせてくれ。恋愛モノとかならクライマックスだろうが。バラエティー番組じゃないんだから。

 

 エルルは顔を赤くしてプルプルしている。俺が顔を覗いているのを見ると、顔を俺に押しつけて隠してしまった。思わず頭を撫でる。サラサラで手触りがいいな。思いを伝えあって安心したからか、エルルへの愛しさが遅ればせながら湧いてきた。

 

「躾のなってない猫ちゃんだな。飼い主に代わってしつけてやろうか?」

 

「エルルが俺を嫌わない限りはそ……ニャ!」

 

 声真似までしやがった。ベッドに置いてあった曲刀を浮かせて抜き、刃を向けてみると逃げて行った。エルルが顔を上げるまで少し時間がかかった。

 

 

 

    ◇ ◇ ◇

 

 

 

「ほらこれでも喰って機嫌直すニャ。ミャーの奢りだニャ。おめでとうだニャ」

 

 エルルと二人で宿を出ると、ミーシャに肉入りクレープのようなものを渡された。代わりに鞘に入れた曲刀を手渡しておく。近くのベンチでクレープを食べているとミーシャが聞いてきた。

 

「夜までは時間があるけど何するんだニャ?」

 

「そうだな……ああ、ちょっと待て」

 

「ニャ?」

 

「さっき話した魔法だ。俺とエルルにもかけてある。恐らく余程の事がなければ身の危険はない。一応気は抜くなよ」

 

「ニャ!」

 

 ミーシャにも魔法をかけておく。こいつも一応エルルの大事なペットだ。

 

 さて、どうするかな。なんとなくだが冒険者ギルドってのが見てみたい。ハンロンで登録してミニッツで活動できるのか分からんが。ゴロツキ用ハローワークみたいなイメージなんだけどどんな感じなんだろう。冒険者ギルドについての情報はまだ得ていないのだ。

 

 二人に冒険者ギルドに行ってみたいと言うと、連れて行ってくれるらしい。三人で手を繋ぐ事になった。両手に花という奴か。ミーシャは腕をブンブン振っている。エルルは手を繋ぐというより腕を抱いている。柔らかい。何故かエルルの顔が見たくなり覗きこもうとするが、恥ずかしいのか顔を隠してしまった。

 

 西部劇っぽい扉を潜ると、左側が酒場か定食屋、右側が銀行窓口みたいになっている。左側にはゴロツキさん達がたむろっている。怖い。少数だが、愛人っぽい感じの女性もいる。左側で食事をしたら味が分からなくなりそうだ。掲示板的なものは受付の反対側にある。

 

 掲示板を覗くと依頼票があった。薬効のある植物やキノコ、魔物や野生生物の肉や素材などの、雑多な品の収集依頼。これは個人や組織が依頼している。報酬は早い者勝ちらしい。いくつか納品されているものは後何個、とか書き加えられてたりする。常設は制限が無いんだな。

 

 これらの収集物の提出や報酬の受け渡しはギルドを介さない。掲示板の手数料で儲けてるのかね。

 

 次は討伐依頼だ。これは常設依頼しかないな。一匹あたりの金額と、討伐した際の証明部位、注意事項、それぐらいである。他の依頼は無いな。

 

「他は窓口で受注するのか?」

 

「そうですね。護衛、警備、治安維持活動への協力のような傭兵業の求人。後はどこそこで被害が出たとか、出そうだから何とかしてくれっていう討伐依頼ですね。魔物の捕獲とかもあるらしいですが。窓口は基本、依頼の紹介と依頼人の住所を伝えるだけです。基本依頼人からの成功報酬ですね。一定の素行の良さや信頼が必要だったり、難易度の高そうだったりする依頼は、過去に依頼達成した時に依頼人から貰った紹介状や感謝状が必要ですね」

 

掲示板の討伐依頼はたくさんまとめて納品すると、何をどれくらい倒したか書いて、印鑑押してくれたりするニャ。結構強いのを倒した時もニャ。収集依頼も難易度が高いブツを納品する時に依頼人に書いてもらったりするニャ。多分ミャーもエルルもこれくらいは集めたニャ」

 

「凄いな。薄々思ってはいたが二人とも結構腕利きなんだな」

 

 ミーシャの言うこれくらい、は結構な厚さだった。頑張ったんだな。聞いた感じ、ランク制があったり、領地や国を跨いで運営するような民間施設ではなさそうだ。むしろ公的な支援金が出てそう。地域差がありそうだな。

 

 まあ紹介状や感謝状を集めるのは楽しそうだ。トレーディングカードゲームみたいに強い手札を揃えて割のいい依頼をゲットとか。常設の討伐依頼をもくもくこなすだけでもそれなりに稼げそうでもあるが。

 

「私は戦えるアールヴの平均より少し上くらいなんですけどね。森での依頼は得意ですし、それにアレがあるので」

 

「ミャーの家系は身体能力と身体強化の魔法以外はからっきしニャんだけど、突っ込んでぶっ殺すだけニャら大体なんとかニャるニャ」

 

 エルルは弓と魔法と運搬と野伏の後方支援。ミーシャは近接戦闘のエキスパートか。本当いいコンビだな。二人とも人当たりが良さそうな女の子だし、ほだされた人も結構いそうだ。実力がきちんと評価されるよう取り計らわれてもおかしくない。

 

 そうなると人当たりが悪かったり、素行の悪そうな奴は証書が貰えず、常設依頼や素行を気にしない依頼者の依頼しかできなさそうだな。それでもある程度稼げはするんだろうが。

 

「女性は少ないのかな?」

 

「地域差はあると思いますがそうですね。基本気性の荒い方が多いですし、長時間行動を共にするため、なかなか男女では組めません。それに女性は男性より比較的安全に稼げる仕事もあるので。……女性のみの腕利きの方々や、男女混合でもストイックに活躍する方々、割り切って愛人を兼ねている方々もいるみたいですが。半分以上は男性のみのグループかと思いますよ」

 

「なるほど。まあそうなるか」

 

 ちょっと物騒なハイキングやキャンプもしそうだし、日帰りならまだしも、生き物を殺す場合、脳内物質が出て興奮しかねない。恋人、夫婦、愛人、半ば友達以上恋人未満みたいな、行為に及んでも問題ない連中じゃないと色々支障が出そうだ。

 

 記憶を漁ると、一般的に避妊は薬や魔法を使う。得意な奴は自分で魔法を使うらしい。それにしてもファンタジーでも男女混合は勝ち組か。世知辛いな。

 

 見るものを見て好奇心も満たされたので、二人に声をかけて飲食スペースに目を向けないようにギルドを出ようとすると、数人のゴロツキに声をかけられた。コワモテの筋肉モリモリマッチョマンとか、金髪で髪の毛逆立っている奴らがいる。ピアスとか刺青をしている奴もいる。抗争とか麻薬とか人身売買とか、そういうワードが浮かびそうな連中だ。非常に怖い。

 

「おうニーちゃん。オメーそこの二人のコレか?上手くやったもんだなぁ。巨乳で美人のアールヴをコマすなんてなぁ。大したもんだぜ全く。……畜生羨ましい! 俺らは普通の女の子に怖がられるし! 引かれるのに! 金で抱かせてくれる女以外縁がないのに!」

 

「そっスよねぇー。俺なんか昔ナンパした娘に、魔物斬った時に得物についた血を舐めてそうとか言われて、しばらく立ち直れなかったですからねぇ。結局数年かけてミーシャちゃんにも名前すら覚えて貰えなかったですし……」

 

「基本俺らみたいなのと組む女って、兼業娼婦みたいなもんだからなぁ。接待って感じで甘酸っぱい感じが微塵もねぇ。金で相手してくれるのは十分ありがたいんだが」

 

「俺もハーレムパーティー作りてぇなー、ああ殺意が湧いてきた。代わってくれねぇかな」

 

「手を出しても俺らだと殺されるだろ。上手くいっても隙を見せたら速攻で殺されるかキンタマ潰されるぞ。俺はそんな殺伐としたのは嫌だ。前科持ちだと今より女っ毛が減るだろうし、ピュアでキラキラしてる女の子には絶対近寄れなくなる」

 

 怒涛の勢いで捲し立ててくる。やめてくれ。睨まないでくれ。顔が怖い。ミーシャに名前を覚えてもらえなかったらしいウニ頭の人は同情するが。俺はエルルくらいに大事な相手にそんな事言われたら無意識に自殺しそうだ。ミーシャに言われても結構傷つくかもしれない。

 

「ニャー、どんまいニャ。これから頑張るニャー。そうニャ! 魔法とかで顔を変えて、暑苦しい筋肉を削ぎ落として、おかしな髪型とチンピラみたいな服装と三下みたいな言葉遣いと不潔さをまともにして、ミャー達並に強くなってお金持ちにニャればいいニャ! 後は記憶を消して女の子への初々しさと誠実さを取り戻せば多分完璧ニャ! それぐらいしたら多分人並みになれるニャ! それでもミャーには脈はゼロだけどニャ! ニャハハハ!」

 

 ミーシャの通りの良い声はよく響いた。ゴロツキさん達を含めた周囲がシーン、となった。酒場スペースにいたお姉さんもそこまで言っちゃうの?って感じで口に手を当てて驚いた顔してる。色々なものを否定されたウニ頭の人は泣き叫びながらギルドを出て行った。非常にいたたまれない。残りのゴロツキさん達も少し傷ついた顔をしている。

 

「あいつ大丈夫か?抜けられると面倒だぞ……」

 

「俺ちょっと馴染みの女に慰めてもらえねえか聞いてくるわ……」

 

「いいわ。私が行くわよ。代わりにボーナス弾んでね」

 

「オイ、ルーカスが物資を蓄えてるって噂だ。見慣れない奴らも増えた。リスタの西は警備の強化をしてるらしい。そういう依頼も増えたしな。人間以外は皆そうだが、特にそこの嬢ちゃんには目をかけろよ。……ったくなんであいつらは……アールヴ……おっぱい美人……畜生ッ……」

 

 ゴロツキさん達が散って行ったのでギルドを出る。ミーシャは結構エゲツない面があるよな。いや助かったんだけどさ。エルルは俺の後ろで俺の服の裾を掴んでいた。庇護欲が湧くな。

 

 陽の傾きからして四時五時くらいだろうか。夕食を食べて少し休んだら突入するかな。尻尾を機嫌良く揺らすミーシャが飯屋と寛げる所に案内してくれるらしい。俺はまた奢られるのか、結構貯蓄があるんだろうけど。しばらくは心苦しい思いをしそうだ。